独自性を伴った印象を強く与える言葉で主張できる人。
あるビール会社の面接で面接担当者からの質問に一切回答せずに口を閉ざす面接志望者がいた。いてもたってもいられなくなった面接担当者は煮を切らし、「君!なぜ質問に回答しない!」と詰め寄ったところ、この面接志望者は突然面接担当者に背を向けて、上着を脱ぎだしTシャツ姿になった。そこには「男は黙って○○ビール」という、その会社のテレビCMで使われていたキャッチコピーが描かれていた。それを見た面接担当者は二の句をあげることができなかったという。
この面接志望者は志望ビール会社のキャッチコピーで面接を決めようと考え、ここぞという場面で面接担当者にぶつけたのだ。
このエピソードは結構有名な話であり、面接ノウハウの本ではたびたび紹介されているものである。このようなパフォーマンスは有効であるのかという議論なのだが、この志望者がとった行動は単なるその場しのぎでないことが容易にとれるであろう。このパフォーマンスをするために事前に用意し、面接では一切回答しなかったのだから。
感じ取ってもらいたいことはパフォーマンスの手段ではない。究極の志望動機であるということを感じ取ってもらいたい。これほど強く入社熱意を示す志望動機はなかなかお目にかかれない。機知に富んでおり、何よりオリジナル性が強い。もし自分が面接担当者であれば間違いなく琴線に触れるであろう。
ただし、パフォーマンスの受け止め方は会社共通しているわけでないので注意が必要だ。志望会社の社風によっては、拒否反応を示す場合もあり、面接中断となることもあり得る。したがって会社研究をしっかり行い、社風を理解することがなにより重要なのだ。
体を張ったパフォーマンスにより面接を突破することもできる、という幻想を抱かないようにしよう。競争社会において、勢いが良いだけの社員を養う余裕などないからだ。しかし、さきほど紹介したようなパフォーマンスのオリジナル性という点は参考にしたい。毎日流れているテレビCMのように、志望動機は簡潔かつインパクトある言葉で訴えたい。発想を柔軟に自分自身で考えた言葉で語るいまだかつてなかったような志望動機を練り上げてみよう。