自分を強く印象づけることができない。
たとえば「私には行動力があります。両親・友人も同じように言います」と自己PRした場合、これだけでは面接担当者は「行動力のある人」と認識しない。初めて会った人間からこのように言われても、とうてい信じることがでない。自己PRに説得力を伴わせるために必要なことは、その言葉を裏付けする経験談といった立証責任も供わなくてはいけない。
しかし、面接志望者の多くは周囲の人間も同じように言うので行動力があると思ってしまい、一言で終わらせてしまう。いくら偉い人物から言われたとしても、面接の場では効力を発揮しない。いつ、どこで、どのような理由があったために、自己PRで行動力があるということに行き着いたかをしっかり語らなくてはいけない。
行動力とは何であるか。その内容の解釈が自分と面接担当者とで食い違ってはいけない。今後の質疑応答で失敗することになる。たとえば面接担当者が行動力を「実現が大変厳しい問題に直面しても、さまざまな方向性を検討し、それを実行して目的の実現に至る能力」と解釈していた場合。しかし、面接志望者は行動力を「つきあいがよい」や「出かけることを苦に思わない」程度と考えていることが意外に多い。セールスポイントの意味をしっかり理解し、自分史と照合する作業が不可欠である。
そこで「私は行動力を実現が困難である問題に当たっても、さまざまな方向から試行錯誤を行い、解決をはかることで目的を実現する能力と理解していますが」とし、裏付ける経験談を話し終えた後で、「以上のことから私には行動力があります」と結ぶとよいのである。
私には行動力がある、という自己PRはよいとおもう。会社の元気の源は社員それぞれの行動力であるからだ。そのため面接志望者のほとんどは行動力があることを自己PRにする。多くの面接志望者が同じように「行動力がある」と答えているとなると、面接担当者は聞き飽きてくるもの。
たとえば「私は志望する会社を選ぶために250社の会社研究を行い、60社のOB訪問を行った結果、御社を志望することに決めました」というような内容だと行動力を裏付けるだけではなく、この会社を選択するに至った熱意も伝えることになり、面接担当者の琴線にふれることができる。